俳優・宇津井健の足跡は、そのまま日本のテレビドラマ業界が歩んだ黄金期と重なる。新東宝から大映映画へと移籍し、映画界で頭角を現した彼は、テレビの黎明期にいち早く活躍の場を広げた。
彼の名を一躍全国区にしたのが、1960年代に大ヒットした『ザ・ガードマン』である。正義感あふれるキャップ役を熱演し、誠実で頼もしい男の象徴としてお茶の間の絶大な信頼を得た。その後も緊張感あふれるサスペンスドラマや重厚な人間ドラマで主役を張り続けた。
キャリア後半の象徴といえば、TBSテレビの看板番組であり橋田壽賀子脚本の名作『渡る世間は鬼ばかり』での岡倉大吉役だろう。藤岡琢也さんの後を継ぎ、店主として、そして父親として家族を温かく温もりある眼差しで包み込む演技は、多くの視聴者の心に深く刻まれた。長年所属したホリプロにおいても、後輩たちから深い尊敬を集める大黒柱であり続けた。