チェックインの際、滞在者は専用の木箱にスマートフォンやウェアラブル端末を預ける仕組みになっている。最初は手持ち無沙汰に感じられるこの制約が、時間の経過とともに解放感へと変わっていく。画面の通知に怯えることのない数時間が、驚くほどの心の余白を生み出す。
端末を手放した人々が向かうのは、静かな読書室や、小川のせせらぎが聞こえる縁側だ。目に入る緑の濃淡、肌を撫でる風の温度、遠くで聞こえる鳥の鳴き声といった、普段は見過ごしてしまう微細な変化に意識が向かい始める。脳の疲労が徐々に取り払われ、直感や創造性が研ぎ澄まされていく。