昭和から平成にかけて広く信じられてきた民間療法の中には、現代の医学的見地からすると「極めて危険」とされる止血法が多数存在します。まずはこれらの誤解を解き、正しい知識にアップデートすることが重要です。
やってはいけない3大NG止血法
- NG1:首の後ろをトントン叩く
「首の後ろを叩けば血が止まる」というのは根拠のない迷信です。振動によって血栓(かさぶた)が剥がれたり、頭部に余計な刺激を与えて血圧を上昇させたりするだけであり、止血効果は一切ありません。 - NG2:上を向いて寝転がる
顔を上に向けると、鼻から出た血液が鼻腔の後ろを通って喉へ流れ込みます。血液を飲み込むと胃を刺激して激しい嘔気や嘔吐を引き起こし、最悪の場合は気管に入って窒息(誤嚥)を招く危険があります。 - NG3:ティッシュペーパーを硬く丸めて奥まで詰める
ティッシュペーパーの繊維は粗く、引き抜く際に新しくできた脆弱なかさぶたを一緒に剥がしてしまい、確実に再出血を誘発します。また、詰める深さが足りずキーゼルバッハ部位を圧迫できていないケースがほとんどです。
【プロの結論】鼻血の正しい止め方(圧迫止血法)
医療現場でも標準的に指導される、最も迅速かつ確実な鼻血の正しい止め方の手順は以下の通りです。
- 体勢を整える:椅子に深く座り、頭を軽く前に倒します(前かがみの姿勢)。衣服の首元を緩め、血液が喉に流れた場合は飲み込まずに口からティッシュや洗面器へ吐き出します。
- 圧迫部位を特定する:目と目の間(鼻骨の硬い部分)をつまんでも止まりません。小鼻(小鼻のふくらみ、柔らかい部分全体)を親指と人差し指で両側からしっかり挟みます。
- 10〜15分間、指を離さず圧迫し続ける:「止まったかな?」と途中で指を離して確認するのは厳禁です。血小板が集まって血栓を作るまでに最低10分はかかります。時計を見て10〜15分間、一定の力で強く圧迫し続けます。
- 冷却の併用:可能であれば、保冷剤や冷たいタオルを鼻根部(目と目の間)や首筋に当てると、局所の血管が収縮して止血を助けます。