福岡市中心部はいま、歴史的な変革の渦中にある。巨大プロジェクトによって古き良き雑居ビルは次々とスクラップ・アンド・ビルドされ、街並みはスマートで均質な表情へと塗り替えられつつある。かつて個性的な若者カルチャーの発信地として名を馳せた大名地区も、ラグジュアリーブランドや整然としたカフェが台頭し、混沌としたストリート感は少しずつ姿を消しつつあるのが現実だ。
そうした近代化の波に対し、この場所は強烈な防波堤として立ちはだかる。整理整頓された無機質な空間とは対極にある、迷宮のような棚の配置。一歩足を踏み入れれば、何がどこにあるのかすぐには判別できないカオス。しかしその雑多な空間こそが、人々が街に求める「偶然の出会い」や「探索の悦び」を守り抜いている。