ネット上の簡易レシピやQ&Aサイトで頻繁に見かけるアドバイスの中に、「茹でた後の白玉団子はボウルの水につけたまま冷蔵庫に入れておけば固くならない」という言説があります。しかし、これは衛生管理と調理科学の双方から見て極めて危うい誤解と言わざるを得ません。
確かに、水中に没している間は表面の乾燥が遮断されるため、空気に晒すよりはカチカチになりにくい錯覚を覚えます。しかし、前述の通り水温が0〜4℃である限りでんぷんの老化自体は止まりません。それ以上に問題なのは、「吸水過多による食感崩壊」と「細菌汚染のリスク」です。
白玉団子を水につけっぱなしにして3時間を超えると、外側から過剰に水を吸い込み始めます。外層はぶよぶよと濁り、自慢のコシは完全に失われ、噛んだ瞬間に水っぽさが口いっぱいに広がる残念な仕上がりへと劣化します。
さらに深刻なのが衛生面です。常温の水に団子を浸したまま半日以上放置した場合、でんぷんを好む細菌(セレウス菌など)にとって格好の増殖培地となります。特に湿度の高い梅雨時や夏場は、たとえ見た目に変化がなくとも食中毒菌が危険域に達している恐れがあります。「水につける保存法」は、団子を茹で上げてから器に盛り付けるまでの最長でも1〜2時間の待機措置としてのみ捉えるのが調理現場の鉄則です。