「オクラをレンジで茹でる」と一口に言っても、洗ってそのまま放り込むだけでは失敗します。仕上がりの美しさと食感を決定づけるのは、加熱前の丁寧な下準備です。料理研究家や現場のシェフが実践している基本ステップは、驚くほどシンプルかつ論理的です。
まずはオクラの下処理における最重要工程である「板ずり」です。オクラの表面には無数の細かな産毛(うぶ毛)が生えており、これが口当たりの悪さやアクの原因になります。オクラ1袋(約8〜10本、約100g)に対し、塩小さじ1/2程度をまんべんなく振り、まな板の上で手のひらを使って前後に軽く転がします。塩の粒子がヤスリの役割を果たし、産毛が綺麗にこそげ落ちると同時に、浸透圧によって葉緑素が安定し、加熱後の発色が劇的に向上します。
続いて行うのがオクラのガクの取り方です。ヘタの先端の茶色い部分を包丁で薄く切り落とした後、ヘタと実の境目にある硬い角質部分(ガク)を、まるで鉛筆の芯を削るようにくるりと一周包丁を滑らせて剥き取ります。根元をすべて切り落としてしまうと、内部の空洞がむき出しになってレンジ加熱中に水分が逃げ出し、筋っぽくパサつく原因になるため注意が必要です。
そして、最も肝心なオクラレンジ加熱時間の目安です。600Wの電子レンジを使用する場合、1袋(8〜10本)あたり「600Wで約50秒〜1分」、500Wであれば「約1分10秒〜1分20秒」が黄金比です。耐熱皿にオクラが重ならないように平らに並べ、水大さじ1程度をふりかけてから、ふんわりとラップをかけます。加熱後はすぐにラップを外し、余熱で火が通り過ぎるのを防ぐために広げて粗熱を取ることで、色鮮やかで歯切れのよい食感に仕上がります。