技術の恩恵がある一方で、現実は決して楽観的な風景ばかりではない。東アフリカを定期的に襲う過酷な干ばつは、彼らの財産であり精神的支柱でもある家畜の群れを容赦なく奪い去る。草地は砂漠化し、世代を超えて受け継がれてきた放牧ルートは寸断された。
これに対し、牛の頭数のみを富の象徴としてきた従来の価値観を見直す動きも広がっている。乾燥に強いラクダの導入や、持続可能な養蜂ビジネスへの参入、さらにはコミュニティが管理する限定的な農耕への挑戦など、生き残りをかけた試行錯誤が続く。彼らにとって気候変動は学術的な議論ではなく、毎日の水と草をめぐる死活問題だ。