東京都葛飾区立石という下町情緒溢れる場所に、なぜ平安の陰陽師の足跡が残っているのか。当時の関東は水害が多く、暴れ川として知られた中川の氾濫に農民たちは常に脅かされていた。そこで招聘されたのが安倍晴明である。
晴明は熊野大神を勧請し、紀州の熊野本宮大社になぞらえてこの地を祈祷した。驚くべきは、現在も区画整理の手を免れ、社地が綺麗な正五角形を保っていることだ。葛飾区立石の街並みがどんなに変化しようとも、千年の時を超えて守られ続けてきたこの特殊な地勢こそが、訪れる者に神秘的なインスピレーションを与え続けている。