2026年12月の公開から世界的な大ヒットとなった映画『THE FIRST SLAM DUNK』において、原作者であり自ら初監督を務めた井上雄彦氏が選んだのは、90年代の懐古主義にすがるノスタルジーではなく、「現在進行形で血の通った生のロック」でした。
オープニングを飾ったThe Birthdayの『LOVE ROCKETS』は、チバユウスケ氏のハスキーで無骨なシャウトと、うねるようなスモーキーなベースリフが特徴です。湘北の5人が鉛筆のスケッチから徐々に生命を吹き込まれ、画面に向かって歩き出す伝説的なオープニングシークエンスと合致した瞬間、劇場内は息を呑む静寂から熱狂へと一気に塗り替えられました。
そして、本作の劇伴音楽およびエンディング主題歌を担当したのがスリーピースロックバンド・10-FEETです。TAKUMA(Vo/Gt)を中心とするバンドメンバーは、井上監督からの緻密なリクエストを受け、約2年の歳月をかけて楽曲制作と劇伴トラックの推敲を重ねました。
主題歌・劇中歌として機能する『第ゼロ感』は、ラウドロック、ヒップホップ的なビート感、民族音楽的な詠唱を融合させた異色の構造を持っています。特に映画のクライマックス、宮城リョータが山王工業のゾーンプレスを突破する瞬間から流れるブレイクダウンと疾走感は、映画音響とアニメーションが奇跡的な融合を果たした映画史に残る名場面として語り継がれています。