映画のクライマックス、東京へ戻る夜行列車に乗り込んだタエ子は、車内で思いがけない感情の奔流に襲われます。次の停車駅で衝動的に列車を降り、駅の公衆電話からトシオの家へ電話をかけ、迎えに来たトシオの車に乗り込む姿が描かれます。
最大の見どころは、エンディングクレジットで展開される演出です。小学5年生のタエ子と同級生たちの幻影が大人になった2人の車を取り囲み、背中を押し、最後はトシオの車を見送って消えていきます。この演出には、「過去の未熟な自分(インナーチャイルド)を受け入れ、成仏(統合)させたことで、初めて自分の意志で未来を選択できた」という極めて深い心理学的メタファーが込められています。
気になる「タエ子とトシオの結婚の真相」について、スタジオジブリの公式アートブックや高畑勲監督の制作記録において、「2人はその後正式に結婚し、タエ子は山形で農業を営みながら暮らしていく」ことが明確に示されています。単なる甘いロマンスではなく、都会のモラトリアムに区切りをつけ、現実に根ざした生活者として生きる決断を下した結末です。