博多のうどんといえば、箸で持ち上げると切れるほど柔らかな「コシのない麺」と澄んだ「あご出汁」の組み合わせが王道です。しかし、博多あかちょこべが提供する麺は、一般的な白いうどんとは根本から異なります。器に盛られた麺は、ほんのりと茶褐色を帯び、表面には細かな粒々が見え隠れします。これこそが、同店最大のアイデンティティである「古式胚芽うどん」です。
博多は、承天寺を開山した聖一国師が中国から製粉技術を持ち帰った「日本のうどん発祥の地」として知られています。店主はこの歴史的ルーツに敬意を払い、精製技術が発達していなかった約800年前のうどん製法を徹底的に研究。小麦の外皮や胚芽部分をまるごと粗挽きにして練り込む技法を確立しました。
小麦胚芽を練り込むことで得られる最大の恩恵は、圧倒的な「香ばしさ」と「大地の滋味」です。精製された純白の小麦粉では決して出せない穀物本来の甘みと野趣あふれる香りが鼻腔を抜けます。食感も、ただ硬いだけのコシではなく、しなやかでありながら中心部に心地よい弾力を残した絶妙な歯ごたえに仕上げられています。伝統をなぞるだけにとどまらず、歴史の深層へ潜り込むことで誕生したこの麺は、まさに博多うどん文化の進化系といえます。