ケロイドの発症には、遺伝的素因(全身性因子)と物理的張力・炎症(局所性因子)の2つが密接に関与しています。臨床研究において、血縁者にケロイドを持つ人がいる場合、傷跡がケロイド化しやすい傾向が確認されており、これを俗に「ケロイド体質」と呼びます。
ケロイド組織の内部では、微小血管の増殖と線維芽細胞の過剰な活性化が続いており、コラーゲン線維の合成が分解を大幅に上回る状態が固定化しています。特に血管新生因子や炎症性サイトカイン(TGF-βやIL-6など)の過剰分泌が止まらないことが、ケロイドが治らない根本的な理由です。
さらに見逃せないのが「皮膚の緊張(張力)」です。前胸部や肩部、背中などは、呼吸や日常動作によって皮膚が常に強く引っ張られる構造的特徴を持ちます。この物理的伸展刺激が受容体を介して炎症細胞を刺激し続け、結果としてわずかなニキビ跡や毛嚢炎からでも巨大な病変へと成長してしまうのです。