全11話の物語を振り返ると、宮藤脚本と演出陣は第1話から極めて巧妙にヒカルの真実を示す伏線を張り巡らせていました。初見では「内向的でおとなしい少女の仕草」に見える描写が、2周目の鑑賞ではすべて「戦慄のシグナル」へと変貌します。
象徴的な伏線のひとつが、ヒカルの爪の傷と手の動きです。リカが殺害された直後、ヒカルは手元を隠すような不自然な仕草を見せており、格闘時に付いた痕跡を隠蔽していたことが後に判明します。また、ヒカルが一人でいる場面でふと見せる冷淡で見下すような視線は、マコトの前で見せる子犬のような笑顔と激しいギャップを形成していました。
さらに、クラシック音楽を異常な大音量で聴き続ける描写や、コインロッカーに隠されていた所持品の矛盾など、マコトの推理を助けるピースは随所に配置されていました。極めつけは山井がヒカルに対して見せていた不可解な態度です。凶暴極まりない山井が、なぜかヒカルに対してだけは恐怖と服従の入り混じった眼差しを向けていた点は、力関係の主導権がヒカル側にあったことを如実に物語っていました。