理想の空間をイメージする際、多くの施主が多様なメディアからアイデアを汲み上げている。ウォルト・ディズニーの名作アニメーション『美女と野獣』に登場する荘厳な城館の図書室や、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』が見せるファンタジックでどこかノスタルジックな造形は、空間づくりのビジュアルイメージとして今なお強い影響力を持つ。
現代の施主たちは、Netflixの時代劇ドラマに描かれる豪華絢爛なインテリアを静止画で切り取り、Pinterestのボードにストックしながら自身の理想を可視化していく。多様なイメージ画像を集め、設計士と共有するプロセス自体が邸宅づくりの醍醐味となっている。
興味深いのは、クラシックな城郭を志向しながらも、世界的建築家である安藤忠雄の作品に見られるような幾何学的な空間の切り取り方や、光と影の劇的なコントラストにインスピレーションを得るケースが増えている点だ。無駄を削ぎ落とした現代建築の緊張感と、伝統的なヨーロッパ装飾の華やかさを融合させる試みが、新時代の邸宅デザインに洗練を与えている。