ジェルネイルとマニキュアの最大の違いは、爪の上で固まる「化学反応のプロセス」にあります。外見上の仕上がりは似ていても、使用する材料の分子構造がまったく異なります。
一般にポリッシュネイルと呼ばれるマニキュアは、酢酸エチルやニトロセルロースなどの有機溶剤に顔料を溶かした液体です。爪に塗布すると、含まれる溶剤が空気中に蒸発(揮発)し、残った樹脂成分が爪表面に薄い皮膜を形成します。揮発によって徐々に固まるため、表面が乾くまでに15〜30分、内部まで完全に固まるマニキュア乾く時間には1〜2時間を要します。中途半端な乾燥状態で布団に入ったり衣類に触れたりして、表面にヨレやシワを作ってしまうトラブルは、この揮発乾燥という性質に起因します。
対照的にジェルネイルは、ウレタンアクリレートなどのオリゴマー(光重合性樹脂)と光重合開始剤を主成分としています。自然乾燥では固まらず、特定の波長を持つUV・LEDライト硬化の光を照射することで、分子同士が一瞬にして強固に結合(ポリマー化)します。照射時間はLEDライトでわずか20〜60秒程度。ライトから手を出した瞬間には完全に硬化しているため、直後に作業をしても傷がついたりヨレたりする心配がありません。
この硬化メカニズムの違いが、直接的にジェルネイル持ち期間の長さに直結します。マニキュアの持ちが日常的な家事やタイピングの摩擦によって3日〜1週間程度で先端から剥がれていくのに対し、ジェルネイルは爪の表面と強固に密着し、3〜4週間にわたって施術直後のツヤと強度を維持します。柔軟性と厚みを持たせられるため、自爪が薄くて割れやすい人にとっての「補強プレート」としても機能します。