山本アナウンサーのキャリアにおいて最大の転機となったのは、1995年4月に放送を開始した『スタジオパークからこんにちは』の初代司会への就任でした。NHK放送センターの公開スタジオから生放送でゲストを迎えるこの番組は、従来の堅苦しい公共放送のイメージを打破する画期的な試みでした。
当時、生放送のトーク番組で求められたのは、大物俳優から新人タレントまで、あらゆるゲストの本音をリラックスした空気の中で引き出す能力です。山本アナウンサーは持ち前の柔らかな物腰と、決して出しゃばらず相手の話を真摯に受け止める姿勢で、番組の礎を築き上げました。ゲストが発した何気ない一言を的確に拾い上げる対話のテンポは、当時の視聴者から絶大な支持を集めました。
キャリア後半の代表作となった『ラジオ深夜便』では、その魅力がさらに深化します。夜間のリスナーが求める「過度な刺激のない、心に染み入る声」として、文学的な話題から市井の人々の暮らしまでを温かく語りかけました。自著や番組内での語り口に見られる「言葉に対する誠実な向き合い方」は、京都大学文学部時代に培われた深い洞察力に裏打ちされています。
プライベートに関しては、派手な私生活を公表することなく、家庭や妻に関する情報も公私の境界線を厳格に守るプロフェッショナルな姿勢を貫いています。この実直さこそが、長年にわたって視聴者からの信頼を損なわなかった大きな要因と言えます。