10年前の冬に起きた出来事を鮮明に覚えている読者も多いはずだ。事の発端は、川本真琴が自身のSNSに綴った密やかな一言だった。そこに「彼女」を名乗る人物が相次いで浮上し、テレビのワイドショーは連日この人間模様をリアルタイムのミステリードラマのように消費していった。
当時は個人のSNS発信が芸能報道を決定的に変え始めた過渡期にあたる。事務所のフィルターを通さない個人の感情がダイレクトに世間に届き、それが瞬時に拡散して大波となる。そのスピード感に従来型のテレビメディアが飛びつき、情報が尾ひれをつけて膨らんでいく構造が完全に固定化した瞬間だった。渦中の当事者たちにとっては、まさに防波堤のない暴風雨の中に放り出されたような日々だったに違いない。