インターネット上の掲示板やSNSでは、青森の高校野球に対して「どうせ県外から集めた選手ばかりで勝っているのだろう」「地元の子どもたちが活躍できていないのではないか」といった冷ややかな言説が散見されます。しかし、現場を継続的に取材している記者や指導者の実感は、そうした偏見とは大きく異なります。
まず押さえるべき事実として、青森山田高校野球部や八戸学院光星高校野球部においても、主力メンバーやバッテリーの一角に青森県内、あるいは東北地方出身の選手が着実に定着している点です。系列の中学校(青森山田中学校など)で全国制覇を成し遂げた地元出身の逸材がそのまま高校へと進学し、チームの核として甲子園の土を踏むルートが確立されています。単なる「高校からの越境留学」ではなく、中高一貫の6年間を見据えた育成体制が実を結んでいるのです。
さらに、その対極として県民の熱烈な支持を集めるのが弘前学院聖愛の存在です。選手登録のほぼ全員が青森県内の中学・シニア出身で構成され、全国の猛者が集う私学を巧みな戦術で撃破していく姿は、地域コミュニティに絶大な活力を与えています。「県外のハイレベルな選手と対戦することで、地元の小中学生の目標が自然と高くなり、全体の技術が引き上げられている」と地元の少年野球指導者は語ります。外からの刺激を受け入れつつ、内なる育成力を高めるという好循環こそが、現在の青森県球界の真の姿です。