デビュー30周年を迎えた及川光博の「美学」と「葛藤」——なぜ今、私たちはあの完璧な“王子様”を再発見するのか?

デビュー30周年を迎えた及川光博の「美学」と「葛藤」——なぜ今、私たちはあの完璧な“王子様”を再発見するのか?

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90年代後半は、ヴィジュアル系バンドの全盛期でもあった。しかし、及川光博の立ち位置はそれらとは一線を画していた。ダークで退廃的な世界観ではなく、どこか昭和歌謡の哀愁を漂わせ、ファンクやディスコのグルーヴを乗りこなす。歌って踊れるソロ男性アーティストというジャンルにおいて、彼は完全に孤高の存在だった。

きらびやかな衣装の下に隠された、緻密な音楽性。彼が紡ぐ歌詞は、時にエロティックで、時に痛烈な社会批判を含んでいた。ただの「お飾り」の王子ではなく、自ら作詞作曲を手がけるクリエイターとしてのプライドが、そのパフォーマンスの端々に滲み出ていた。だからこそ、一発屋で終わることなく、カルチャーとして定着したのである。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。