料理研究家の土井善晴氏は、米を洗った後にザルに上げて吸水させる「洗い米」という技法を広く提唱してきた。水に浸しっぱなしにするのではなく、濡れた状態の米をザルに上げておくことで、米粒が必要な水分を自らの力で吸い込み、炊き崩れを防ぐという合理的なアプローチだ。
ユネスコ無形文化遺産にも登録された和食の真髄は、素材そのものの命を引き出すことにある。米を研ぎ、火にかけ、蒸気のかすかな音や香りの変化に耳を澄ませる。それは単なる家事の枠を超え、忙殺される日常の中で五感を取り戻すマインドフルネスな時間としても機能している。