ネット上やファンの間では長年、1985年の優勝時に道頓堀川へ投げ込まれたケンタッキーフライドチキンの人形に端を発する「カーネル・サンダースの呪い」が都市伝説のように語り継がれてきました。しかし、プロ野球の構造的・組織論的視点から検証すると、38年間日本一から遠ざかった理由は明確な球団マネジメントの課題に起因しています。
第1の要因は、1990年代の長期低迷(暗黒時代)における育成システムの不全と場当たり的な大型補強への依存です。自前で主力選手を育てる土壌が確立されておらず、FAやトレードによる対症療法的な補強を繰り返した結果、チームとしての戦術的連続性が失われていました。
第2の要因は、星野仙一監督や岡田彰布監督(第1次)が築いた2000年代の強豪期においても、ポストシーズン(短期決戦)特有の戦略的柔軟性に欠けていた点です。2003年(福岡ダイエーホークスに敗退)や2005年(千葉ロッテマリーンズに敗退)は、ペナントレースを独走した反動による試合間隔の空きや、主力の故障離脱に対処しきれず涙を飲んでいます。
呪いという非科学的な言説の裏にあったのは、フロント主導の長期育成計画の不在と短期決戦への戦術的アプローチの差でした。2023年の優勝は、矢野燿大前監督時代から積み上げられた若手野手・投手の育成基盤に、岡田監督の冷徹な勝負勘が組み合わさった結果であり、偶然ではなく必然の構造改革だったと言えます。