ピン札を無事に確保できたとしても、袋への入れ方や持ち運び方を誤ってしまうと、せっかくの気遣いが台無しになってしまいます。意外と多くの人が見落としている重要なマナーを整理します。
ご祝儀袋に入れる「お札の向き」と「肖像画」の位置
ご祝儀袋にお札を収める際、紙幣の向きには厳格な決まりがあります。
- 表面の向き:お札の表側(人物の肖像画が描かれている面)が、ご祝儀袋の表面(「寿」や名前が書かれている側)を向くように合わせます。
- 上下の向き:ご祝儀袋を開けた際、肖像画が上部(最初に見える位置)に来るように配置します。
- 複数枚を入れる場合:3枚(3万円)や5枚(5万円)を包む際は、すべてのお札の表裏と上下を完全に揃えてから中袋(中包み)に入れます。
なお、お葬式などの不祝儀(香典)では「悲しみに顔を伏せる」という意味から、肖像画を裏側かつ下部に向けて入れるのが作法です。慶事とは正反対のルールとなっているため、間違えて不祝儀の向きで入れてしまわないよう細心の注意を払ってください。
袱紗(ふくさ)の包み方で問われる大人の品格
ピン札を丁寧に中袋に入れ、美しい水引がかけられたご祝儀袋を完成させた後、それを「スーツの内ポケットやバッグにそのまま裸で放り込む」のは重大なマナー違反です。移動中に袋の角が折れたり水引が潰れたりするだけでなく、受付で裸の祝儀袋を差し出すのは相手に対する敬意を欠く行為とみなされます。
ご祝儀袋は必ず「袱紗(ふくさ)」に包んで持参するのが鉄則です。
- 袱紗の色選び:慶事には赤、朱色、ピンク、金色、紫色などの明るい暖色系を用います。特に紫色は慶事・弔事の両方で使える万能カラーとして重宝されます(寒色系や黒は弔事専用)。
- 慶事の包み方順序(爪付き袱紗・風呂敷タイプ):
- 袱紗をひし形に広げ、中央よりやや左寄りにご祝儀袋を置く。
- 左側を折り、次に上側、その次に下側を折る。
- 最後に右側を折り返し、爪を留める(右開きにする)。
弔事では「右→下→上→左」の順で左開きにするため、包む順序も正反対になります。現代では袋状になっていて差し込むだけの「金封袱紗(スマート袱紗)」も広く普及しており、包み方に不安がある場合はポケット型の金封袱紗を選ぶのが最も安全です。