「黒ニキビを無理に出す危険性は分かったが、それなら何もしないで放置すれば自然に消えるのではないか」――これもまた、ネット上に蔓延する危険な誤解の一つです。
結論から述べれば、皮膚深部に埋没した角栓や酸化皮脂は、放置しても自然消滅することはまずありません。時間の経過とともに毛包内部で過酸化脂質が蓄積し、フリーラジカルを持続的に放出して周囲の正常細胞を攻撃し続けます。これにより毛包壁が徐々に菲薄化し、軽微な摩擦や洗顔圧が加わっただけで深部破裂を起こし、突発的な赤ニキビや結節・嚢腫へと悪化するリスクを常に抱え込むことになります。
さらに長期間放置された毛穴は、内容物の容積に合わせて周囲の結合組織が不可逆的に伸展してしまいます。いざ数年後に内容物が排出されたとしても、コラーゲン線維が弛緩しきっているため、ぽっかりと穴が開いたままの「すり鉢状毛穴」として定着してしまうのです。「触らずに放っておけばそのうち治る」という言説は、ターンオーバーが正常に機能しているごく初期の微小面皰にのみ当てはまる論理であり、すでに深部埋没を起こした黒ニキビには通用しません。