日本人の多くを長年惑わせてきたのが、「16文は何センチなのか」という単位の疑問です。伝統的な日本の尺貫法において、靴や足の大きさを表す単位である「1文(もん)」は、寛永通宝の直径を基準としており約2.4センチメートルに相当します。この計算式をそのまま当てはめると、以下の驚くべき数値が導き出されます。
2.4cm × 16 = 38.4cm
成人男性の平均的な足長が25〜26cm程度であることを考えると、約38.4cmという数値は人間離れを通り越して怪物じみています。しかし、ジャイアント馬場の靴のサイズを記録した公式記録や関係者の証言を検証すると、実際の素足のサイズは32センチの足のサイズ(約32.0cm)であったことが判明しています。では、なぜ「16文」という言葉が定着したのでしょうか。
発端は1960年代初頭、馬場がアメリカ遠征を行った際、現地で特注購入したリングシューズにありました。アメリカの靴の規格であるアメリカサイズ16(US size 16)の表記を目にした日本の遠征同行記者(元東京スポーツ編集局長・桜井康雄氏ら)が、日本の「文」と混同し、「馬場の足は16文もあるのか!」と記事に書き立てたことが直接のきっかけです。USサイズ16は日本規格でおよそ34.0cm前後に相当し、インソールや靴自体の外寸(コバ部分を含むソール長)を測れば約38cm近くに達します。つまり、「靴の外寸の実測」と「USサイズ表記16」と「日本の単位・文」が奇跡的な符合と誤解によって融合し、伝説のコピーが誕生したのです。