足元の印象は、紐の「通し方(シューレーシング)」と「結びの仕上げ」で劇的に変化します。特にビジネスパーソンやファッション愛好家にとって、靴紐の処理はスタイリングの完成度を左右する決定打です。
エレガンスと強靭さを両立する「ベルルッティ結びのやり方」
フランスの老舗高級紳士靴ブランド「ベルルッティ」の4代目当主オルガ・ベルルッティが、ウィンザー公のために考案したとされる伝説的な結び方が「ベルルッティ結び」です。革靴の靴紐の結び方としてこれ以上の完成度を持つ手法は他にありません。解けない実用性と美術品のような端正さを兼ね備えています。
手順は、通常の固結びを1回作ったあと、両端をもう1回くぐらせて土台を「二重巻き」にします。その後、通常の蝶結びを作るように両方の輪を作りますが、中央で交差させて輪を穴にくぐらせる際、輪の先端をもう一度同じ穴に巻き込んで引き締めるというプロセスを踏みます。この二重の輪の摩擦抵抗によって、細く滑りやすい蝋引き(ロウビキ)紐であっても、一日中歩き回って一度も緩むことがありません。解く際は両方の紐先を引くだけでワンタッチで解放できる点も、世界中の紳士を魅了し続ける理由です。
パラレル結びとオーバーラップ結びの使い分け
シューホールへの紐の通し方において、二大基本構造となるのが「パラレル」と「オーバーラップ」です。
- オーバーラップ結び:靴紐を穴の「外側から内側」へ交互に通す手法です。締めた紐が緩みにくく、足を包み込むホールド感に最も優れるため、スニーカーの出荷時の標準設定やランニングシーンに最適です。
- パラレル結び:紐が表側で平行(ストレート)に並ぶ通し方です。内羽根式のストレートチップなど、最もフォーマルな革靴の靴紐の結び方において必須のマナーとされます。スニーカー靴紐のおしゃれな通し方としても人気が高く、ミニマルで清潔感あふれるルックスを演出できます。
ハイカットスニーカーの靴紐アレンジ
着脱の煩わしさが敬遠されがちなコンバースのオールスターやナイキのエアジョーダンなどのハイカットモデルでは、「ハイカットスニーカーの靴紐アレンジ」が実用性とスタイルの両面で重宝されています。最も一般的なのは、最上段の1〜2個の穴をあえて通さず、足首の後ろに紐をぐるりと1周巻きつけてから前で短くイアンノットで留める「アンクルラップ結び」です。足首の固定感が増すとともに、ストリートライクなこなれ感を演出できます。また、結び目をベロ(シュータン)の内側に隠す「インサイドノット」を取り入れれば、紐先を垂らさずミニマルなシルエットを維持できます。