インターネット上で定期的に浮上する「打ち切りの理由」や「松重豊の降板の噂」。その発端を辿ると、松重自身がメディアのインタビューや制作発表記者会見の場で語ってきたユーモラスかつ切実な発言に行き着きます。
松重はかねてより「ただの初老の男が飯を食っているだけの番組」「自分の胃袋がいつまでもつか」と自虐を交えて語ってきました。ドラマ内の食事シーンは作り置きの冷めた料理ではなく、現場で出来立てを本気で完食するストイックな撮影手法が貫かれています。1日に複数軒の撮影が重なることもあり、60代を迎えた松重の身体的負担は年々過酷さを増していました。
しかし、これを「作品への愛着の喪失」や「不仲による降板」と解釈するのは明らかな誤解です。2026年公開の『劇映画 孤独のグルメ』において、松重は主演のみならず監督・脚本まで兼任しました。自らメガホンを取って作品世界を拡張したという事実は、彼が井之頭五郎というキャラクターと作品の持続可能性に対して、誰よりも強い責任感と情熱を注いでいる証左にほかなりません。