ノジマ相模原ライズのアイデンティティを語る上で避けて通れないのが、前身である「オンワードオークス(のちにオンワードスカイラークス)」の解散劇です。1980年代に創部されたオンワードは、ライスボウルやジャパンXボウルを制覇した屈指の超名門実業団でした。しかし、2008年秋の世界的な金融危機(リーマン・ショック)の煽りを受け、親会社のアパレル大手オンワードホールディングスが突如として部活動の休止と廃部を発表しました。
当時、日本のアメフト界には巨大な衝撃が走りました。トッププレイヤーたちが競技を断念するか他チームへ移籍せざるを得ない窮地に追い込まれる中、キャプテンや主力を中心とした有志が下した決断は「チームを解散させず、ゼロからクラブチームとして再出発する」という前代未聞の挑戦でした。これが、市民クラブチームとしてのノジマ相模原ライズの創部理由です。
実業団の看板を失ったチームは、リーグ規定により最下層である「X3」からの再出発を余儀なくされました。練習場の確保すらままならない劣悪な環境下で、選手たちは資金集めや地域へのビラ配りを自ら行い、泥にまみれながら戦い続けました。その結果、X3、X2を圧倒的な全勝記録で駆け抜け、わずか2年という最短記録でトップリーグ復帰を果たすという、日本スポーツ史に残る下剋上を成し遂げたのです。
その後、2011年に神奈川県相模原市を創業の地とするデジタル家電専門店大手「株式会社ノジマ」がメインスポンサーに名乗りを上げ、チーム名は「ノジマ相模原ライズ」へと改称されました。単なる資金援助にとどまらず、地域社会の活性化と青少年の育成を共通理念に掲げたこのスポンサー獲得の経緯こそが、チームが安定した経営基盤と強固な地元サポーターを獲得する決定的な転換点となりました。