国家とマフィアの全面戦争の転換点となったのが、1992年に起きたジョヴァンニ・ファルコーネ判事の暗殺事件です。数千人規模のマフィアを法廷に引きずり出した「大裁判(マキシ・プロセス)」を主導したファルコーネ判事は、パレルモ近郊の高速道路に仕掛けられた約500キロの爆薬によって妻や護衛警察官とともに爆殺されました。そのわずか2カ月後には、盟友のパオロ・ボルセリーノ判事も車爆弾で命を奪われました。
この凶行はイタリア国民の凄まじい怒りに火をつけ、軍隊がシチリアに配備される事態へと発展。首謀者のトト・リイナは1993年に逮捕され、獄中で一生を終えました。そして、このテロ作戦に関与し、30年間にわたり逃亡を続けていた「最後のボス」がマッテオ・メッシーナ・デナーロです。
デナーロは偽名を使ってパレルモの高級クリニックに通院し、がん治療を受けていたところを2026年1月16日に特別警察部隊に身柄を拘束されました。同年9月に収監先の病院で死亡したことで、1990年代の流血の時代を主導した歴史的幹部は名実ともにすべて姿を消しました。この逮捕劇は、シチリア島におけるひとつの時代の完全な終焉を象徴しています。