上村愛子を語る上で欠かせないのが、1990年代後半から2000年代初頭にかけて巻き起こった社会現象的な人気です。当時18歳で出場した長野五輪では、雪焼けした頬と愛くるしいルックス、そして雪面をダイナミックに攻めるアグレッシブな滑りのギャップが話題を呼び、「愛子スマイル」のフレーズとともに写真集や特集雑誌が飛ぶように売れました。
しかし、彼女の真の価値はアイドル的人気にとどまらず、実力で世界の頂点へ登り詰めた点にあります。2007-2008年シーズンには日本人初となるフリースタイルスキーW杯総合優勝を達成し、2009年世界選手権ではシングル・デュアルの2冠を獲得しました。
日本のモーグル界における歴代選手を振り返ると、1998年長野五輪金メダリストの里谷多英氏が道を拓き、上村愛子がその競技性を国民的メジャースポーツへと押し上げました。そしてその遺伝子は、男子モーグル世界王者の堀島行真や、女子のエース川村あんりらへと脈々と受け継がれています。上村愛子の存在なくして、今日の日本モーグル界の隆盛はあり得ませんでした。