公務の現場に携わる宮内庁関係者や皇室担当記者の証言から見えてくるのは、目に見える公務の裏にある「下準備の過酷さ」です。
署名・捺印する書類の件数は年間1,000件を超えますが、陛下は単に形式的に印鑑を押されているわけではありません。送られてきた公文書の内容を一言一句丁寧に確認され、疑問点があれば担当部局に照会されることもあります。国家の最高責任者としての署名である以上、誤りは絶対に許されないという極度の緊張感が伴います。
さらに、年間約20回執り行われる宮中祭祀の負担も見逃せません。毎年11月23日に行われる「新嘗祭」では、寒風吹きすさぶ深夜、電気設備のない神嘉殿において、薄い祭服を身にまとい、数時間にわたり正座の姿勢で神々に感謝を捧げられます。前日からの潔斎(心身を清める儀礼)を含め、体力・気力ともに極限まで削られる儀式です。