ネット上のコミュニティやSNSを精査すると、自撮り棒を巡るトラブルは日々深刻化している。現場で居合わせた一般客の苛立ちや、実際にトラブルに巻き込まれた当事者の投稿からは、マナー啓発ポスターだけでは伝わらない生々しい摩擦の実態が浮き彫りになる。
大手掲示板やSNS上で定期的に炎上しているのが、「テーマパークのショー鑑賞エリアにおける頭上突き出し」だ。あるテーマパーク来園者の手記には、次のような憤りの声が記録されている。
「パレードの直前、最前列にいたグループが突如として1メートル以上伸びる棒を掲げ、スマートフォンを頭上に掲げた。後ろにいた小さな子供たちの視界は完全に遮られ、注意しても『みんなやってる』と逆ギレされた。最終的にクルーが駆けつけて退場を警告するまで、せっかくの鑑賞体験が台無しになった」(来園者のSNS投稿より抜粋)
さらに深刻なのは、歩行中の「歩き自撮り」による物理的接触事故だ。液晶画面に映る自分の表情や背景の構図に夢中になるあまり、前方を歩く高齢者やベビーカーに激突する事案が後を絶たない。X(旧Twitter)上でも、「観光地の階段で前の観光客が自撮り棒を振り回し、先端のスマホがこちらの顔面すれすれをかすめた」「インバウンド客の自撮り棒がコートの袖に引っかかり、破れたのにそのまま立ち去られた」といった現場の悲痛な報告が相次いでいる。
一方で、撮影者側の「悪意なき違反」もトラブルを複雑化させている。知恵袋などのQ&Aサイトには、「伸ばさなければOKと言われたので持っていたら、警備員に強い口調で怒られた」「海外製ジンバルを使っていただけで自撮り棒とみなされて没収された」という困惑の声も散見される。現場の警備スタッフやクルーにとっては、混雑の中で個々の機材が「伸縮するか否か」「Bluetoothでどう操作しているか」を細部まで目視判別することは困難であるため、疑わしい形状の器具を一括して排除せざるを得ないのが実情なのだ。