搬送中に残量がゼロになる恐怖を完全に払拭するために、まず頭へ叩き込んでおくべき基本式が存在します。医療現場で使われる医療用高圧ガスボンベの内部には、気体が極めて高い圧力で圧縮充填されています。ボイルの法則に基づき、大気圧下(常圧)で取り出せる実際の酸素総量は以下の計算式によって導かれます。
【酸素ボンベ残量計算の基本公式】
酸素残量(L)= 容器内容積(L)× ボンベ残圧(MPa)× 10
ここで算出された酸素残量(L)を、患者へ投与している指示流量(L/分)で割ることで、理論上の使用可能時間が算出できます。
【理論上の使用可能時間(分)】
使用可能時間(分)= 酸素残量(L)÷ 酸素流量(L/分)
しかし、検査出し前の慌ただしいナースステーションで、小数の掛け算や割り算を紙に書いて計算している余裕はありません。そこで現場の看護師向け酸素流量計算まとめとして重宝されているのが、「500Lボンベ専用の34倍速算ルール」です。
病棟の車椅子やストレッチャーに搭載されている小型ボンベ(通称500Lボンベ)の多くは、容器内容積が「3.4L」に設計されています。これを先ほどの式に当てはめると「3.4 × 10 = 34」という固定値が導き出されます。つまり、500Lボンベ残量計算方法においては、「メーターのMPa値に34を掛け、流量で割る」だけで完結します。
さらに暗算を素早く行いたい場合、現場のベテラン看護師や救急救命士は「残圧 × 30」で概算するテクニックを駆使しています。例えば、残圧が6MPa、指示流量が3L/分の場合、暗算で「6 × 30 ÷ 3 = 60分」と弾き出します。34を30に丸めて計算することで、自動的に約12%の安全マージンが組み込まれるため、計算が簡略化されるだけでなく過大評価を防ぐ二重のメリットが生まれます。