胎児性アルコール症候群の影響は、表面的な目や口元の造作だけに留まりません。骨格の基礎を成す頭部全体のサイズと全身の成長プロセスにも重大な歪みをもたらします。その典型例が小頭症と発育遅滞の関連性です。
アルコール曝露を受けた胎児は、脳神経細胞の分裂が抑制されることで脳自体の容積が十分に拡大せず、頭囲が標準偏差を大きく下回る「小頭症」を呈します。頭蓋骨は内部の脳の容積に合わせて成長するため、脳の発達遅延が直接的に頭部の小ささや扁平な後頭部として現れる構造です。日本小児科学会の専門医も「単なる顔立ちの個性とFASの境界線を見極める上で、頭囲のパーセンタイル値と成長曲線の推移は極めて決定的な客観指標となる」と指摘しています。
さらに妊娠中の飲酒と胎児への影響は、子宮内胎児発育遅延(IUGR)として現れます。出生体重が2,500g未満の低出生体重児となる頻度が高く、生後も十分な栄養を摂取しているにもかかわらず身長・体重の伸びが標準に追いつかない「キャッチアップ不全」が続く点も特異的な兆候です。