税務署の資産課税部門や個人課税部門が実施する税務調査において、青色事業専従者給与は極めて重点的にチェックされる論点です。現場調査官が厳しく追及する「否認の典型パターン」には、明確な共通項が存在します。
1. 「もっぱら従事」の実態が伴っていない(名義貸し)
所得税法施行令第165条において、専従者は「その年を通じて6カ月を超える期間、その事業にもっぱら従事すること」が義務付けられています。税務調査の現場では、調査官が「専従者のタイムカード」「出勤簿」「パソコンのログイン履歴・メール送信履歴」「受発注のサインや手書きメモ」の提示を求めてきます。「名前だけ専従者にして月10万円を振り込んでいたが、実際には家事と育児しかしていなかった」という事例は、言い逃れができず全額経費否認・重加算税の対象となります。
2. 届出書の記載金額を超えて支給している
税務署に提出した「青色事業専従者給与に関する届出書」に「月額15万円」と記載しているにもかかわらず、「業績が良かったから」と事業主の独断で月額20万円を支払った場合、超過分の5万円のみならず、支給の妥当性そのものを疑われ厳格な実地調査に発展します。届出額を変更したい場合は、必ず事前に「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出しなければなりません。
3. 通帳間の資金移動がなく「生活費」と混同されている
給与は事業主の事業用口座から専従者本人の個人名義口座へ、毎月決まった支給日に振込送金されていなければなりません。「生活費口座が同一だから手渡しにしていた」「現金を渡したことにして領収書も作っていない」というケースは、客観的支払証拠がないと判断され否認リスクが跳ね上がります。