結論から言えば、この影の諜報組織は間違いなく実在してきた。その正式なルーツは、陸上自衛隊の組織構造における「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」へと行き着く。かつて陸自調査部第2小隊、あるいは「DIT(Defense Intelligence Team)」などのコードネームで呼ばれたこの部署は、防衛省の訓令や定員表には一切記載されていない。
組織の成り立ちは冷戦期に遡る。米軍の諜報部隊(441CIC)から秘密工作やヒューミント(人的諜報活動)の訓練を受けた陸自幹部たちが、ソ連や北朝鮮の脅威に対抗すべく設立したのが発端だ。彼らは身元を一般企業のエリート商社マンや民間人に偽装し、海外の危険地帯へと足を踏み入れてきた。現在もなお、防衛省は「過去にも現在にも存在しない」と判で押したような否定答弁を繰り返している。だが、存在しないはずの組織から給与が支払われ、特殊な工作活動に従事した男たちの証言は、すでに隠しきれないレベルに達している。