自尊心を傷つけられた清太は、節子を連れて叔母の家を出て、横穴での自炊生活を選ぶ。このとき、おばさんは強く引き留めようとはしなかった。この態度こそが、おばさんの「冷血さ」の証拠として長年挙げられてきた。
しかし、心理学的な分析や歴史考証によれば、ここには当時の「世帯」のあり方とプライドの衝突が存在する。おばさん側からすれば、「文句があるなら自分でやってごらん」という突き放しであり、まさか防空壕に籠もって餓死するまで戻ってこないとは思っていなかった可能性が高い。言葉の足らなさ、世代間のコミュニケーション不全が、取り返しのつかない悲劇を引き起こしてしまったのだ。