「階段を降りるときにすねの外側が張る」「靴紐が当たる足の甲に刺すような痛みが走る」といった症状を訴える患者の多くにおいて、長趾伸筋に形成されたトリガーポイント(索状の硬結部)が確認されています。長趾伸筋は、足の第2指から第5指(人差し指から小指)の背側へと腱を伸ばしているため、筋肉本体が過緊張を起こすと、すねから足の甲、さらには足指の付け根にかけて強い関連痛を放散します。
特に近年増えているのが、足の甲を通過する腱を取り巻く腱鞘が炎症を起こす足の甲の腱鞘炎(伸筋腱腱鞘炎)との合併です。硬いアスファルト上でのランニングや、甲を強く圧迫するタイトなスニーカーの着用、さらには足指が地面に接地しない「浮き指」の状態で歩行を続けると、長趾伸筋の腱が摩擦を受け続け、歩行困難を招くほどの激痛へと発展します。
また、長趾伸筋の走行ルートは神経経路とも密接です。筋肉が硬縮して肥大化すると、その間をすり抜ける深腓骨神経を物理的に圧迫し、足の親指と人差し指の間のしびれやすね前面の感覚鈍麻を引き起こすリスクがあります。「単なるすねの張り」と軽視して放置すると、歩行時のつまづきや転倒リスクを大幅に引き上げる要因となるため、早期の正確な見極めが求められます。