京都中華の歴史を語る上で、避けて通れない伝説の料理人がいます。山東省出身で戦前・戦後の京都中華界を牽引した名厨師、高華吉(こう・かきつ)氏です。「飛雲」「第一樓」などの名店で腕を振るった高氏は、1967年に寺町今出川に「鳳舞(ほうまい)」を開業。ここから広まった味の系譜は、現在「鳳舞系 京都中華 歴史」として食文化の金字塔となっています。
高氏が生み出した数々の傑作の中でも、全国に熱烈なファンを持つのが「からしそば(撈麺・ローメン)」です。このからしそば 京都 発祥の経緯は、高氏の類まれなる発想力から生まれました。茹で上げた中華麺に、練りからしを醤油や酢などの特製タレで溶いたものを手早く絡め、その上から熱々の鶏ガラ出汁ベースの具だくさんあんかけ(エビ、かしわ、きくらげ、レタス、九条ネギなど)をたっぷりとかける構造になっています。
あらかじめ麺にからしを直接和えておくことで、熱い餡で閉じ込められたからしのツンとした揮発性の辛味が、麺をすすった瞬間に鼻腔を突き抜けます。後を引く爽快感と出汁餡のまろやかなコクが絶妙に調和し、一度食べたら忘れられない中毒性を生み出しました。「鳳舞」自体は2009年に惜しまれつつ閉店しましたが、その直系弟子たちによって「鳳泉」「竹香」「盛華亭」といった名店へ技が継承され、京都のソウルフードとして愛され続けています。