被害者意識は、単なる「弱さ」や「不幸自慢」にとどまらない。最新の組織心理学研究が警告を発するのは、被害者の立場を盾にした攻撃性、すなわち「カバート・アグレッション(隠れた攻撃性)」への進化だ。「あの人に意図的に無視された」「厳しすぎる指導で傷ついた」といった被害の訴えは、周囲の同情を集めやすく、第三者を味方につける強力な武器となる。
結果として、本来正当な指摘を行った上司や同僚が悪役に仕立て上げられ、組織の評価軸や秩序が歪められていく。この「静かなハラスメント」は、直接的な暴言よりも発見が遅れやすく、周囲の善意を利用して標的を追い詰めるため、極めて悪質と言わざるを得ない。