インターネット上の掲示板やSNSでは、「立憲民主党は自治労や日教組の傀儡にすぎない」「労働組合が選挙を完全にコントロールしている」といった極端な言説が飛び交っています。しかし、労政の現場を丹念に追跡すると、現実ははるかに複雑で形骸化が進んでいます。
第一の盲点は、労働組合自体の推定組織率の急激な低下です。厚生労働省の統計データによれば、日本の労働組合組織率は1980年代の30%台から右肩下がりを続け、足元では16%前後にまで落ち込んでいます。非正規雇用の拡大やIT・サービス業の台頭により、そもそも「労組に加入している労働者」自体が社会の圧倒的少数派(マイノリティ)となっているのです。
第二の盲点は、「組合員=立憲支持」という等式の崩壊です。SNSや匿名掲示板では、若手組合員による以下のような書き込みが日常的に見られます。
「給料から組合費を天引きされているのに、勝手に立憲民主党の候補者を推す集会へ連れて行かれるのが苦痛でしかない」
「上層部はリベラルを掲げているが、自分たちの同期はほとんど国民民主党か自民党に投票している。投票所に入れば誰に入れたかなんて分からない」
現在では多くの組合で投票行動の強制力(引き締め)が失われており、上意下達の組織票は名目上の数値の数分の一しか稼働していません。ネット上で恐れられている「巨大な労組の圧力」と、現場で起きている「若い組合員の無関心と離反」の間には、埋めがたい巨大なギャップが存在しています。
【プロの結論】組織社会学・心理的バウンダリーから見る教訓と有権者の判断基準
立憲民主党と支持母体の関係性を組織社会学のレンズを通して観察すると、そこには一種の「制度的惰性と共依存の罠」が見て取れます。
心理学でいう「心理的バウンダリー(境界線)」の概念を政党と組織の関係に当てはめてみましょう。健全な組織関係であれば、政党は支持団体の意見を傾聴しつつも、国家全体の公益や将来世代の利益を優先して「ノー」を突きつける境界線を持たなければなりません。しかし、現在の立憲民主党は、公認権や政策立案において官公労の要求を拒絶できず、逆に労組側も選挙実務の権威付けを立憲に依存し続けるという、癒着的な相互依存関係に陥っています。
この力学を踏まえ、有権者が立憲民主党を支持するか否かを判断するための客観的な基準を提示します。
【立憲民主党への投票が適している有権者】
- 公務員の人員増や公共サービス、社会福祉・介護・保育分野への公金投入を最優先課題と考える人
- 平和憲法(第9条)の堅持を重視し、防衛費増額や敵基地攻撃能力の保有に強い危機感を抱いている人
- 選択的夫婦別姓や同性婚の法制化など、多様性と人権擁護を軸とした社会改革を急ぐべきだと考える人
【支持に慎重になるべき有権者】
- 現役世代の手取り増や積極的な減税、規制緩和を通じた民間主導の経済成長を求める人
- 原発再稼働を含む現実的かつ安価なエネルギー政策と、迅速な安全保障体制の強化を望む人
- 労働組合や特定の職域団体の既得権益にメスを入れ、抜本的な行政改革を期待している人