激しいバッシングの一方で、実際に小泉進次郎氏がどれほどの期間休んだのかという実態については、当時から多くの誤解がつきまとっていました。一部で噂されたような「大臣ポストを長期間空席にして育児に専念した」という事実は一切ありません。
公式発表資料および環境省関係者の証言によると、実際に設定された小泉進次郎氏の育休期間は、長男が誕生した2020年1月中旬からの約3か月間を対象とし、取得した小泉進次郎氏の育休通算日数は「合計約2週間(14日程度)」でした。しかも、これは連続して2週間完全に休業したわけではありません。
具体的な取得形態は、以下のような極めて綿密な条件付けのもとで運用されました。
- 国会審議・閣議の最優先:衆参両院の本会議や予算委員会、閣議への出席は一切欠席せず、最優先で出席する。
- 危機管理体制の完全維持:災害発生時や緊急事態における指揮命令系統に一切の遅滞を生じさせない。
- テレワークと時間短縮の活用:省庁での執務時間を一部短縮し、可能な公務書類の決済はオンライン(テレワーク)で行い、省内会議もテレビ会議システムへ移行する。
- 代替不可能な公務以外の配慮:副大臣や政務官への適切な権限委譲を行い、大臣でなければ対応できない業務に絞り込む。
つまり、小泉氏の育休は「完全に仕事を止める休暇」ではなく、「公務の責任を100%全うしながら、スキマ時間を可能な限り育児と家庭のケアに充てるハイブリッドワーク」だったのです。この現実的な落としどころに対し、野党やメディアの一部からは「中途半端なパフォーマンスだ」とさらなる批判が浴びせられましたが、現行法上、特別職国家公務員である閣僚には労働基準法や一般の育児休業法が直接適用されないという法制度の壁もありました。
そもそも政治家の育休前例としては、2010年に東京都文京区の成澤廣修区長が特別職首長として基礎自治体初の育休を取得した事例や、国会議員の間で議論が持ち上がった前例はあるものの、国の行政各部を統括する「現職閣僚」が取得を正式決定したのは憲政史上小泉氏が初でした。前例のない道を開拓するにあたり、行政機能を麻痺させないためのギリギリの妥協策が、この「通算2週間の分割・ハイブリッド型」だったと言えます。