テレビ業界の華麗なイメージの裏で、業界関係者の間で長年タブー視されつつも議論の的となってきたのが、所属母体による残酷なまでの「経済格差」である。ドラマプロデューサー年収は、民放キー局の正社員か、独立系・下請けの制作会社員か、あるいはフリーランス契約かによって数倍の開きが生じる。
主要民放キー局(日本テレビHD、TBS HD、フジ・メディアHD、テレビ朝日HD、テレビ東京HD)が公表している有価証券報告書(2026〜2026年度実績)の平均年間給与データを参照すると、各局の正社員平均年収はおよそ1,300万円〜1,600万円前後の高水準を維持している。30代後半から40代前半でプライム帯(21時〜22時枠)のドラマプロデューサーを担当する社員であれば、残業手当や役職手当を含めて年収1,400万円を超えるケースは極めて一般的だ。
一方で、実際に現場の物理的制作を一手に請け負う「テレビドラマ制作会社」の待遇は大きく異なる。民間信用調査機関や各種求人統計の推計によると、中堅制作会社の正規雇用プロデューサーの平均年収は約450万〜650万円のレンジに収まる。さらに下積み段階であるアシスタントプロデューサー(AP)の場合、20代で手取り月収が20万円台前半、年収換算で300万円台にとどまる現場も依然として散見される。
このように、同じ「ドラマのプロデューサー」を名乗っていても、背負っている資本系列と契約形態によって経済基盤には歴然とした断絶が存在する。民放キー局プロデューサー採用を突破した一握りの社員と、外部の制作会社で現場を回すスタッフとの格差構造は、テレビドラマ制作業界が直面し続けている根本的な構造課題と言わざるを得ない。