白味噌を語る上で外せないのが、京都を中心とする雅な食文化の歴史だ。宮廷文化の中で育まれた西京味噌は、塩気よりも甘みと旨みを尊ぶ伝統日本料理(和食)の真髄を今に伝えている。貴族や茶人たちが愛したその味わいは、精進料理の白和えや、魚の旨みを引き立てる西京漬けなど、多彩な調理法へと昇華していった。
赤味噌が武士の兵糧や力強い労働の源として塩分高く仕込まれたのに対し、白味噌はハレの日の贅沢品だった。原料の米をふんだんに使い、丁寧に大豆の皮を剥いて仕込む手間暇は、まさに京料理の美意識そのもの。今日でも料亭の椀物を一口すすれば、出汁と白味噌が織りなす重層的な香気と奥行きに、誰もが感嘆のため息を漏らす。