肉が鉄板の上で静かに震え、芳醇な香りを放つ。「神戸ビーフ」の名を口にするのは容易だが、その称号を得られる肉は決して多くない。厳格な基準を管理する神戸肉流通推進協議会による指定登録店でのみ、純血の但馬牛血統から選び抜かれた真の神戸牛に出会うことができる。
霜降りの融点は人肌ほどに低く、舌の上に乗せた瞬間、脂特有のくどさを一切残さず澄んだ甘みへと昇華する。いたずらにレアで焼くのではなく、熟練の焼き手が肉の繊維を見極め、内部の温度をミリ単位でコントロールする。カリッと焼き上げられたガーリックチップとともに口へ運ぶ一口は、まさに職人技と風土が生んだ芸術品だ。