「然様」の正しい読み方は「さよう」です。「然」は「然(しか)り」「当然」などに使われるように「その通り」「状態」を表し、「様(よう)」は「ありさま」「様子」を指します。つまり、意味は「その通り」「そのよう」であり、相手の発言を肯定・同意したり、物事のありさまを指し示したりする指示代名詞・副詞的表現として発展してきました。
日常会話やビジネス文書では「左様」と表記されるケースも多く見られますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
国語学的な観点から整理すると、本来の意味構造に忠実な正字が「然様」です。一方の「左様」は、中世(室町時代頃)から使われ始めた当て字が慣用として定着したものとされています。古来、日本では「左」を「右」よりも上位・優位とする思想(左大臣が右大臣の上位であるなど)があり、改まった席や公の場で肯定の意を示す際に「左」の字を当てたという説が有力です。
現代の公用文や新聞表記などの用字用語基準では、原則として仮名書きの「さよう」が推奨されていますが、漢字を用いる場合は「左様」「然様」のどちらを用いても間違いではありません。ただし、語源の正当性を重んじる文脈や古典的な格調を演出したい場面では「然様」が好まれます。