「格安で優雅な暮らし」という世間のイメージとは裏腹に、現存する宿舎の内部では凄惨な老朽化が進行している。昭和40年代から50年代に建設された物件が全国に大量に残されており、外壁の亀裂や配管の劣化による漏水トラブルが日常茶飯事となっている。エアコンや温水洗浄便座すら設置されておらず、入居者が自費で整備しなければならないケースも珍しくない。
こうした老朽化物件の維持管理や共用部の修繕を手がけるのは、国家公務員共済組合連合会や関係機関だが、限られた予算のなかでは抜本的な改修が追いついていない。また、住宅行政を所管する国土交通省が掲げる耐震基準を満たしていない旧耐震建築物も一部残り、大規模地震が発生した際の安全性に対する不安も募る。
安さの裏側にあるのは、快適さとはほど遠い生活環境だ。隙間風が吹き込む部屋やカビに悩まされる日常を前に、「これなら民間の賃貸に住みたいが、給与体系上それが難しい」と嘆く若手職員の声は絶えない。特権意識の象徴と叩かれた過去と、朽ち果てていく現実の住まい。その隔絶は深まるばかりだ。