福岡市地下鉄七隈線の桜坂駅から緩やかな坂を上ると、シックなグレーを基調としたファサードが現れる。福岡市中央区桜坂。都心の喧騒から程よく離れたこの閑静な住宅街こそ、シェフが自らの理想を具現化するために選んだ舞台だ。
店内へ足を踏み入れる。無駄な装飾を削ぎ落としたミニマルな空間設計が、主役であるフランス菓子たちの色彩と造形をこれ以上ないほど際立たせている。プティガトーのグラサージュの艶、ヴィエノワズリーの繊細な層、焼き菓子の素朴な焼き色。店内の湿度や照明の角度に至るまで計算し尽くされた空間に、妥協の文字は見当たらない。