医療現場の取材で頻繁に耳にするのは、「市販薬を数か月飲み続けたが、次第に効かなくなった」という患者の切実な声です。ある50代男性は、自著の手記や診察室での問診において次のように吐露しています。
「脂っこいものを食べた後の胸のつかえが始まりでした。薬局で胃腸薬を買って飲めばその場は凌げたため、1年近く放置してしまった。ところがある朝、ひどい立ちくらみと黒い便が出て緊急搬送され、進行した胃潰瘍と萎縮性胃炎が判明しました。もっと早く内視鏡検査を受けていればと悔やんでも悔やみきれません」
ネット上の医療掲示板やSNSでも、「市販薬でごまかしていたらピロリ菌陽性だった」「胃もたれだと思っていたら胆石症だった」という体験談が数多く投稿されています。日本人の胃炎や胃がん発生において決定的な鍵を握るのが、ピロリ菌検査です。ピロリ菌に長年感染していると、胃粘膜が徐々に薄くなる慢性胃炎のサインが現れ、胃酸分泌と蠕動運動が低下して慢性的な胃もたれが定着します。除菌治療を成功させることで、将来の胃がん発症リスクを大幅に低減できることが臨床研究で証明されています。