楽曲のメガヒットを受け、1962年には東映によって映画『王将』が製作されました。三國連太郎が坂田三吉役を熱演し、村田英雄自身も出演して劇中で主題歌を披露。映画は配給収入において当時の年間上位に食い込む大ヒットを記録し、音楽と映像が連動した初期のメディアミックス成功例となりました。
なぜここまで日本中が『王将』に熱狂したのか。その背景には、1960年代初頭の高度経済成長期の社会構造があります。全国から集団就職などで大都市へ出てきた若者や労働者たちは、過酷な環境の中で「いつかは一旗揚げてやる」という野心を抱いていました。
「吹けば飛ぶよな将棋の駒に 賭けた命を笑わば笑え」というフレーズは、学歴や家柄がなくても己の腕一本で成り上がろうとする庶民の心情と完全に合致しました。自らを泥臭い駒に重ね合わせ、歯を食いしばって生きる人々のアンセムとして機能したことこそが、爆発的流行の本質です。