島木譲二の真骨頂は、ボクサー時代に培った強靭なフィジカルを惜しみなく投入したダイナミックな「身体芸」にありました。彼が生み出した数々のギャグは、単なるウケ狙いの奇策ではなく、計算し尽くされたリズムと間合いによって観客を魅了する伝統芸能的な完成度を誇っていました。
- 大阪名物パチパチパンチ:上半身裸になり、「顔はやめとけ、ボディにしとき」のフリから、自らの胸板を両手の平で猛烈なスピードで連打する代表芸。激しい打撃音が劇場全体に響き渡り、最後は「あー、パチパチパンチ!」と決め台詞を放つ。
- ポコポコヘッド:金属製の灰皿を手に持ち、「ポコ、ポコ」と自らの額へ叩きつける芸。「脳のしわを伸ばして知能指数を上げとんのじゃ」という独自のボケ台詞で笑いを誘った。
- カンカンヘッド:工事用ヘルメットや一斗缶を頭突きで凹ませる荒技。相手役との絶妙な呼吸で成り立っていた。
- フレーズ系ギャグ:「しまったしまった島倉千代子」「困った困ったこまどり姉妹」「ワン・ツゥ・スリー、アッ・ホ〜!」など、昭和歌謡やリズムを織り交ぜた中毒性の高いフレーズ。
これらの芸は、島木譲二が自身の強面コンプレックスを逆手に取り、「どうすれば子どもからお年寄りまで一瞬で笑ってもらえるか」を突き詰めた結果生み出されたものです。舞台裏では出番直前まで入念に身体をほぐし、胸板を叩く角度や手の平の湿り気まで調整していたと共演者は述懐しています。